新任教員自己紹介(物理学・塩沢健太 助教)

2024.05.31
ファカルティ
 2024年4月より一般教育部物理学単位に着任した塩沢健太です。2012年度から2023年度まで本学理学部に学生および研究員として在籍していました。一般教育部では物理学要習および物理学実験を担当します。専門分野は素粒子理論物理学、特に超弦理論です。
 
 超弦理論とはどのような理論かご存知でしょうか。簡単に言えば、物質を構成する最小単位が「粒子」ではなく、一次元的な長さを持った「弦」である、という理論のことです。この理論では、粒子は振動する非常に小さい弦として表されます。現在知られている素粒子理論は、標準模型としてまとめられていますが、ここには素粒子がたくさん現れます。しかし、超弦理論では、それらの素粒子は異なる振動をする一つの弦として表すことができるのです。また、重力を媒介する重力子と呼ばれる仮説上の粒子も、振動する弦として表せます。つまり、超弦理論は素粒子理論でもあり、重力理論でもあるのです。
 
 私は、この超弦理論を使って時空間のミクロな構造について研究しています。特に、ブラックホール内部やビッグバンの初期などの重力理論と量子理論が両方有効であるような領域の時空間に興味があり、調べています。研究方法としては、主に紙とペンを使い、たまにパソコンを使って計算をします。
 
 写真は「弦」に関係するということで、高校時代と大学時代にやっていたクラシックギターと私です。
 
 だいたいの大学生は物理が苦手であるという印象があります。しかし、科学技術が高度化している現代では、物理学の知識や考え方を身に付けた人に大きくアドバンテージがあると思います。実際、私は2022年度に一般企業で働いていたのですが、そのときには物理学の知識や考え方を多く使って業務を行っていました。このような経験や、研究活動、学生時代に行っていた塾でのアルバイト経験、また前年度まで行っていた他大学での非常勤講師の経験などを全て活かして、物理に苦手意識のある学生に物理の面白さ、楽しさを伝えていきたいと思っています。
 
 大学生は一番時間があり、また頭がやわらかい期間です。さらに、教養科目に時間を割いて学べるのは大学一年生だけです。今考えると、私は大学一年生のときにもっと様々な教養科目を勉強しておけばよかったと思っています(もっと遊べばよかったという後悔もあります)。みなさんは後悔のないように、大学時代に全力で学び、考え、かつ遊んでください。
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