主な研究テーマ
発達性ディスレクシアの評価と指導
文字を読むことの苦手さをディスレクシア(dyslexia;読み障害)といいます。他のことはできるのに,読むことだけが予想外に苦手な時に,そう呼びます。原因は大脳の読みを司る部分の機能の不全にあり,主に音を操作する能力の発達が不十分なため,文字を音に変えることが苦手になります。日本ではまだあまり知られていない障害ですが,学校での勉強や日常生活につまずきを感じている人は少なくありません。そのような障害の状態を的確に把握して,効果的な指導につなげられるような研究をしています。
文字を読むことの苦手さをディスレクシア(dyslexia;読み障害)といいます。他のことはできるのに,読むことだけが予想外に苦手な時に,そう呼びます。原因は大脳の読みを司る部分の機能の不全にあり,主に音を操作する能力の発達が不十分なため,文字を音に変えることが苦手になります。日本ではまだあまり知られていない障害ですが,学校での勉強や日常生活につまずきを感じている人は少なくありません。そのような障害の状態を的確に把握して,効果的な指導につなげられるような研究をしています。
担当科目
学年 | 授業名 | 授業の目的 |
1 | 言語聴覚療法学概論 | 言語聴覚療法学の概要と基礎的な理念を理解する。言語聴覚士の対応する様々な疾患や障害について知る。 |
言語発達学 | 典型発達児の言語発達の様相とメカニズムについて基礎的な知識を理解する。 | |
2 | 構音障害学Ⅰ | 器質性および機能性構音障害についての基本的事項を理解し、臨床に必要な理論的基礎と臨床における基本的な知識と技術を修得する。 |
音声学演習 | 音声学では言語学的音声学の理論面を扱うが、同時に実習として、実際の発音と聞き取りの練習を行い、音声に関わるスキルの定着を目指す。また、音声学の理解を深めるために不可欠な音韻論の概要を説明するとともに実際の音韻分析の練習を行う。 | |
言語学 | 言語学および日本語学の各領域を概観し、言語を分析する基礎的な方法を実践的に体得する。 | |
3 | 言語発達障害学 | 特異的言語発達障害(SLI)、限局性学習症(学習障害:LD)、知的能力障害(知的障害:ID)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、脳性まひ(CP)などの言語発達障害児のコミュニケーションおよび言語の症状を把握し、それぞれの障害の発生機序を理解し、評価と指導法を学ぶ。 |
言語発達障害学実習 | 言語発達障害児の言語およびコミュニケーションの症状について、観察・評価・言語病理学的診断・指導の一連のプロセスを学び、具体的な指導プログラムを作成して実施する。さらに臨床場面を見学して知識と実践を結びつけることを学ぶ。 | |
重複障害学 | 重複障害児の運動機能の障害と言語およびコミュニケーション障害について理解する。その症状を把握し、指導法を学ぶ。 | |
臨床実習Ⅰ | 臨床実習Ⅱで学ぶための基礎的能力を習得するために、実習指導者の下で言語聴覚士が行う様々な疾患・障害を有する対象者への対応を見学して、職場環境を知り、言語聴覚療法の臨床について具体的なイメージを身につける。 | |
臨床言語聴覚療法学実習 | 臨床で必要な基礎的な臨床能力(態度、知識、技術)を深めるために、 臨床の場における基本的なマナー、コミュニケーションを習得する。 基本的な検査・評価法、訓練・指導法について理解する。 模擬患者を対象に、基本的な検査・評価法、訓練・指導法を実践し、習得する。 自らの臨床能力について課題を見出して、今後の学びの目標や方法を整理する。 | |
4 | 言語聴覚療法学総合演習 | これまでに学んだ基礎科目、専門基礎科目、専門科目の全てを総合的に復習・確認し、言語聴覚士としての知識や考え方、技術を確実に身につけると同時に、国家試験に合格して卒業後に十分な力が発揮できる内容を修得する。 |
臨床実習Ⅱ | 言語聴覚障害に関する基礎的な知識・技術をもとに、臨床の現場で、指導者の指示に従って、言語臨床を実践し、言語聴覚士として必要な態度・知識・技術を身に付ける。 | |
卒業研究 | 言語聴覚療法学の各臨床領域を研究的な観点で捉え直し、学術的な検討の基礎を学ぶことを通じて、言語聴覚士として生涯学習に取り組む基礎的な素養を身につける。 |
経歴・業績等
主な学歴・経歴
学歴
経歴
上智大学外国語学部フランス語学科卒業 |
上智大学大学院言語学専攻言語障害研究コース修了(修士) |
東北大学大学院教育学研究科単位取得退学(博士(教育学)) |
経歴
~2000年 | 東北厚生年金病院言語心理部 |
~2010年 | 福岡教育大学特別支援教育講座 教授 |
~現在 | 北里大学医療衛生学部 教授 |
主な業績
著書
【教科書】
深浦順一,藤野博,石坂郁代編.言語発達障害学第3版.(担当:共著)医学書院,2021.
深浦順一,植田恵.言語聴覚療法評価・診断学.(担当:共著)医学書院,2020.
半田理恵子,藤田郁代編.地域言語聴覚療法学.(担当:共著)医学書院,2019.
石田, 宏代, 石坂, 郁代編.言語聴覚士のための言語発達障害学第2版. 医歯薬出版株式会社, 2016.
【著書】
加藤醇子編.Dyslexia入門.(担当:共著)日本評論社,2016.
東川麻里・山本徹・江村俊平編. やさしいコミュニケーション障害学.(担当:共著) 三輪書店, 2016.
大伴潔・大井学編.特別支援教育における言語・コミュニケーション・読み書きに困難がある子どもの理解と支援. (担当:共著)学苑社,2011.
稲垣真澄編.特異的発達障害診断・治療のための実践ガイドライン. (担当:共著)診断と治療, 2010.
【翻訳書】
Hulme, Charles, Snowling, Margaret J., 大石, 敬子, 原, 惠子, 石坂, 郁代, 今井, 裕弥子, 長並, 真美共訳.発達的視点からことばの障害を考える : ディスレクシア・読解障害・SLI .Sophia University Press上智大学出版,ぎょうせい (発売) 2016.
論文
研究発表
2021年度:日本言語聴覚士学会,日本コミュニケーション障害学会
2020年度:日本言語聴覚士学会,日本コミュニケーション障害学会,日本吃音・流暢性障害学会,日本音声言語医学会,日本特殊教育学会,日本LD学会
2019年度:ASHA,日本コミュニケーション障害学会,日本吃音・流暢性障害学会,日本特殊教育学会,認知神経心理学会
受賞
【教科書】
深浦順一,藤野博,石坂郁代編.言語発達障害学第3版.(担当:共著)医学書院,2021.
深浦順一,植田恵.言語聴覚療法評価・診断学.(担当:共著)医学書院,2020.
半田理恵子,藤田郁代編.地域言語聴覚療法学.(担当:共著)医学書院,2019.
石田, 宏代, 石坂, 郁代編.言語聴覚士のための言語発達障害学第2版. 医歯薬出版株式会社, 2016.
【著書】
加藤醇子編.Dyslexia入門.(担当:共著)日本評論社,2016.
東川麻里・山本徹・江村俊平編. やさしいコミュニケーション障害学.(担当:共著) 三輪書店, 2016.
大伴潔・大井学編.特別支援教育における言語・コミュニケーション・読み書きに困難がある子どもの理解と支援. (担当:共著)学苑社,2011.
稲垣真澄編.特異的発達障害診断・治療のための実践ガイドライン. (担当:共著)診断と治療, 2010.
【翻訳書】
Hulme, Charles, Snowling, Margaret J., 大石, 敬子, 原, 惠子, 石坂, 郁代, 今井, 裕弥子, 長並, 真美共訳.発達的視点からことばの障害を考える : ディスレクシア・読解障害・SLI .Sophia University Press上智大学出版,ぎょうせい (発売) 2016.
論文
- Kentaro Yoshizawa, Ikuyo Ishizaka, Nao Yasuda, Yumi Yukimoto, Mari Higashikawa, Yuki Hara, Wakana Hata and Mitinari Fukuda: The impact of social anxiety disorder on the duration of speech and language therapy at a medical institution for Japanese individuals who stutter. The Kitasato Medical Journal, 51(1),10-18, 2021.
- 吉澤健太郎, 石坂郁代, 安田菜穂, 福田倫也, 雪本由美, 秦若菜, 東川麻里, 原由紀:成人吃音患者の自閉スペクトラム症傾向および注意欠如・多動症傾向と社交不安との関連. 音声言語医学, 62(1), 24-32, 2020.
- 水戸 陽子, 鈴木 恵子, 石坂 郁代, 広瀬 宏之, 高橋 優宏.指文字,文字を介して音声言語を獲得した難聴重複障害児 : 一事例の言語発達の経過 .コミュニケーション障害学 37(1) 21-27 2020.
- Mari Higashikawa, Yuichiro Motoki, Ikuyo Ishizaka, Yuki Hara, Takeshi Murakami, Wakana Hata, Yoko Mizuto and Kentaro Yoshizawa: The effects of speech therapy for aphasic patients in Japan on linguistic function, functional communication ability in daily life and non- linguistic intelligence. The Kitasato Medical Journal, 50(1), 73-79, 2020.
- Yuki Hara, Mari Higashikawa, Wakana Hata, Yuri Sasaki, Takeshi Murakami, Yoko Mizuto, Yosuke Kita and Ikuyo Ishizaka: Selection of screening items for stuttering: a preliminary study. The Kitasato Medical Journal, 50(2),123-129, 2020.
- 吉澤健太郎, 石坂郁代, 安田菜穂, 雪本由美, 長谷部雅康, 中島麻友, 秦若菜, 原由紀, 東川麻里, 福田倫也:吃音を主訴に医療機関を受診する高校生のプロフィールおよび社交不安傾向の併存疾患有無による比較. 吃音・流暢性障害研究, 3(1), 1-7, 2019.
- Mari Higashikawa, Yuichiro Motoki, Motomichi Shirahase, Ikuyo Ishizaka, Yuki Hara, Takeshi Murakami, Wakana Hata, Kentaro Yoshizawa, Kazuo Hadano, and Takeshi Hatta: Course of improvement of neologistic jargon: An investigation of three cases. Psychologia, 61(3), 159-173, 2018. (IF 0.063)
- 水戸 陽子, 吉村 拓馬, 惠良 美津子, 石坂 郁代, 広瀬 宏之.広汎性発達障害に言語面の弱さがみられる選択性緘黙児に対する言語聴覚療法の経過 .小児の精神と神経 57(3) 205-212,2017.
水戸 陽子, 鈴木 牧彦, 石坂 郁代.学齢児の認知機能に対する注意力の影響 .音声言語医学 58(2) 127-134,2017. - 石坂 郁代.小児の正常発達シリーズ【第3回】発話の発達.小児内科 49(3) 451-453,2017.
- Ikuyo Ishizaka, Mari Higashikawa, Yuki Hara, Wakana Hata and Keiko Suzuki: Development of word fluency and expressive vocabulary in Japanese kindergarten children. Kitasato Medical Journal, 44(1), 26-30, 2014.
- 藤岡 徹, 石坂 郁代, 河野 俊寛, 大石 敬子, 滝口 慎一郎, 平谷 美智夫.発達性ディスレクシアと診断された児童の併存症と初診時の主訴の検討.LD研究 23(3) 340-34, 2014.
- Kentarou Yoshizawa, Nao Yasuda, Michinari Fukuda, Yumi Yukimoto, Mieko Ogino, Wakana Hata, Ikuyo Ishizaka and Mari Higashikawa: Syntactic comprehension in patients with amyotrophic lateral sclerosis. Behavioural Neurology, article ID 230578, 2014. (IF 1.445)
研究発表
2021年度:日本言語聴覚士学会,日本コミュニケーション障害学会
2020年度:日本言語聴覚士学会,日本コミュニケーション障害学会,日本吃音・流暢性障害学会,日本音声言語医学会,日本特殊教育学会,日本LD学会
2019年度:ASHA,日本コミュニケーション障害学会,日本吃音・流暢性障害学会,日本特殊教育学会,認知神経心理学会
受賞
取得資格
言語聴覚士
所属学会
日本コミュニケーション障害学会
日本言語聴覚士協会
日本音声言語医学会
日本LD学会
日本特殊教育学会
日本音声言語医学会
日本小児神経学会
日本高次脳機能障害学会
日本神経心理学会
など
日本言語聴覚士協会
日本音声言語医学会
日本LD学会
日本特殊教育学会
日本音声言語医学会
日本小児神経学会
日本高次脳機能障害学会
日本神経心理学会
など
Message
To cure sometimes 癒すことはたまにしかできなくても
To relieve often 和らげることはしばしばできる
To comfort always しかし,病む人の心の支えになることはいつでもできること
(日野原重明先生の「死をどう生きたか」から引用,中川信子「発達障害とことばの相談」より)
私が尊敬するST中川信子先生が,言語聴覚士の仕事はエンパワメント,その人の中にもともとある力を上手に見つけ,
引き出し,育てていく仕事だとおっしゃっています。
言語聴覚士は,やりがいのある仕事です!
To relieve often 和らげることはしばしばできる
To comfort always しかし,病む人の心の支えになることはいつでもできること
(日野原重明先生の「死をどう生きたか」から引用,中川信子「発達障害とことばの相談」より)
私が尊敬するST中川信子先生が,言語聴覚士の仕事はエンパワメント,その人の中にもともとある力を上手に見つけ,
引き出し,育てていく仕事だとおっしゃっています。
言語聴覚士は,やりがいのある仕事です!